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ドンキ37店が中国のスマホ決済「WeChat Pay」に対応、その狙いは – ケータイ Watch


テープカットもWeChat Payの仕組みを利用した“QRコードテープカット”。QRコードを読み取り、テープカットの操作をすると別の画面のバーチャルなテープを切れる、という流れ

 ドン・キホーテは、国内37店舗で、6月29日より、中国人観光客向けの決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」に対応した。7月3日には、5月にオープンしたばかりのMEGAドン・キホーテ渋谷本店でセレモニーが開催された。

 あわせて中国のテンセントホールディングスは(騰訊控股有限公司)、WeChat Payの海外オープンプラットフォームを日本で提供すると発表。加盟店を開拓するアクワイアラーは、オンラインでのアカウント開設手続きなどをより手軽に進められるようになり、WeChat Payの対応店舗がさらに広がることが期待されている。

中国人観光客に「SNSの力でアプローチ」

ドン・キホーテでは、6月29日より、国内37店舗でWeChat Payに対応。この37店舗でおおむね、訪日中国人のニーズに対応できるとのことで、北海道~沖縄まで全国各地に対応店舗が存在することになる。ドン・キホーテの高島氏によれば、開始からわずか数日ながら、既に予想を上回る利用になっているとのこと。キャッシュレスで財布を取り出さずにスマホだけで支払えることから、少額決済の増加を見込む。

 さらに対応店舗のうち、渋谷、東京・新宿東口店や大阪・道頓堀御堂筋店は、テンセント側と連携して期間限定的にユーザーへの情報発信を強化する“WeChat Pay旗艦店”となる。WeChat Payにおける旗艦店とは、一定期間だけ、中国人観光客がよく訪れる店舗でなおかつ立地の良い店舗から選ばれ、「微信」上で重点的に紹介される。送客効果を高めるキャンペーンとして、店舗側が活用できるようWeChat Payの機能として提供されている。

もともとドン・キホーテでは、いわゆるインバウンド需要が大きく叫ばれる以前から、海外客の利用率はある程度あり、全店舗で免税免許を取得してきた。同社東日本営業本部の竹内三善本部長は「ティッシュペーパーから服飾のブランド品まで、1店舗で幅広い品揃えを誇り、さらにいわゆる“圧縮陳列”と呼ばれる同社独特の陳列手法が、海外からの訪日客との親和性が高い」と語る。

2008年ごろからは、海外で利用される決済手段への対応も始めており、中国人向けとしては、今回のWeChat Pay以前にも、中国アリババグループの「Alipay」(アリペイ)や、クレジットカードの銀聯にも対応してきた。

 そうした既存の中国人向け決済手段に加えて、今回「WeChat Pay」に対応するのは、単なる選択肢の拡大、利便性の向上に加えて、微信が、中国国内において、LINEのようにコミュニケーションツールとしてデファクトスタンダードの地位を確立していることがある。中国人がほぼ使っている、とまで言われる微信だからこその強みがWeChat Payにはある、という視点だ。

 実際に利用シーンを見てみると、レジでWeChat Payを利用して支払うだけで、ユーザーは自動的に、ドン・キホーテの微信公式アカウントをフォローする。公式アカウントを通じて、購入後も、店舗側からは新製品や新サービスなどの情報を届けられるようになり、質問にきちんと回答することで顧客満足度の向上を図れる。そうした企業と消費者のコミュニケーションを通じて、企業イメージの確立や、リピート客の増加、ユーザー間の口コミを通じた新規客の獲得も期待できる。ドン・キホーテの微信公式アカウントでは、日本から海外への発送に対応した越境ECサイトへの導線もあり、「コストゼロで一度来店した人をECサイトへ誘導できるようになる」(高島氏)。コミュニケーションが招くさまざまなメリットが、WeChat Payにはある、というわけだ。

海外での対応店舗増やす

 一方、今回の発表と時を同じくして、テンセントでは、海外の店舗がWeChat Payに対応しやすくるための施策「WE Plan」と、WeChat Payの加盟店を開拓する企業、いわゆるアクワイアラーが利用する海外オープンプラットフォームを発表した。

 オープンプラットフォームでは、店舗側は、WeChat Payの正規アクワイアラーを通じて、オンラインで手軽に加盟店申請ができるようになる。

そして「WE Plan」では、加盟店に対して、WeChat Pay対応店であることを示すステッカーなど、販促に使えるツールやクーポン、WeChat Payを通じたキャンペーンを実施するための機能などが提供される。店舗にとって消費者にアピールしやすい機能を揃え、申請しやすくすることで、対応店のさらなる拡大を図るのが「WE Plan」という形だ。

テンセントでは、中国人がよく訪れる日本、台湾、香港などのほか、今後はオーストラリアの潜在的なニーズに注目。その一方で、日本人向けサービスの展開については「ニーズがあれば検討していくことになる」(テンセント WeChat Pay国際事業総責任者の殷洁/グレース・イェン氏)とするに留めた。

 WeChat Payは、先述したように主に中国人向けのサービスだが、日本でのLINE Payなどのサービスと同じジャンルに属しつつ、市場をリードする存在でもある。中国では、日本のおサイフケータイ以上に拡がりを見せており、日本でも同じような“スマホ決済”が拡がるかどうか、ヒントに満ちたサービスと言えそうだ。

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